アンナも観て来た
●順番は前後するけれど、月組ミーマイの前に、バウで星組『ANNA KARENINA』も観て来たのであった。若手主体のバウ・ワークショップ。ワークショップなりに満足な芝居。
●以前の雪組でのバウ公演は私は見ていない。新作を見る心構えで観劇する。演出は植田景子女史である。手堅く上手く纏まっていて、美術もいいし歌もいいし、作品としては充分に出来上がっているものとの印象を受けた。ただ、話そのものが最早ひとつの「典型」であるから、外形的な出来の良さのみでは感心感動までなかなか到らないのも事実である。演者の力で作品に深みが与えられないと、心ゆくまでの感動に迄では到らない。「ワークショップなりに」と云う限定付で満足としたのは、其の点の含みあっての事である。
●ヴィロンスキーを夢乃聖夏、アンナ・カレーニナを蒼乃夕妃、カレーニンを紅ゆずる。夢乃さん蒼乃さん、まあまあ普通に良かったです。二人ともロシア人に見えないのが残念ではある。紅ゆずる君は二年くらい前から気になっていた人。此のカレーニンもなかなか好演。
●物語の主人公がヴィロンスキーとアンナである事は間違いないのだろうが、景子先生、カレーニンに可成りの思い入れを入れて書いている気がする。彼女の他の作品から考えてもそう察せられる事だし、そもそも一番芝居心が必要とされる役どころでもあるだろう。此の作品のキモとなる人物。演じ甲斐がある一方難しい役でもありそうだ。ベニー氏、流石に渋みはまだ出ていないけれど、良く演じていたと思う。
●アンナに次いで目立つ役として、コースチャと結ばれるキティがいる。水瀬千秋さん。ただ、アンナの夢乃さんもキティの水瀬さんも、そこそこイイんだけれど、宝塚の娘役の型通りに留まっているふうに見受けられる。そこに自分なりの解釈とか、自分なりの色が出る様になるのは、結局今後の精進次第と云う事だろうか。
●大輝真琴君の子役が結構可愛くて良かったな。こんな役もやる人なんだ。音花ゆりさんに余裕と貫禄を見た一方で、今回朝峰おねいさんが控えめ過ぎた印象。出番は少なくなかったのに、何故だろう。まあ、必要以上に出張る必要のない役ではあるから、あれでいいんだろうけれど。
●中で私的に一番気になったのは、セルプホフスコイ演った真風涼帆君だ。今迄で特に意識した事のない人だったのだが、彼は眼を惹くなあ。まだ男役の声になりきっていなかったりするけれど、何となく、此の先ずっと気にかける事になりそうな人だ。ゆくゆくは彼に眼をつけた思い出の一作って事になってくれるといい『ANNA KARENINA』でした。
●然し、登場人物はロシア人ばっかりだし、役者は日本人ばっかりの日本語の芝居なのに、なんで『ANNA KARENINA』なんて題をつけるかね。『アンナ・カレーニナ』か『Анна Каренина』でしょうに。
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